セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.69『リフォーム詐欺』

GS業界・セルフシステム

2005-07-25

 振り込め詐欺や架空請求がやや下火になったと思ったら、今度はリフォーム詐欺─。埼玉県富士見市で、認知症の老姉妹がリフォーム業者に食い物にされ全財産を失った問題は、多くの人に衝撃を与えた。その後も、岡山県では3億円を超える詐欺容疑で業者らが逮捕・送検され、京都市内でも認知症の老夫婦が計18回の工事に、680万円を支払わされていた。高齢者世帯が全世帯数の3分の1を超えたわが国では、今後もお年寄りを狙った卑劣な商法が次々と現われることだろう。

 リフォーム詐欺の手口は、最初、「無料で診断します」で始まり、「うわ~これはヒドイ」「このままだと家が腐ってしまいますよ!」「いますぐ決めていただければ割安でやらせてもらいますから」といった具合に、判断力の衰えているお年寄りの不安を煽り、不必要な工事や装置を法外な値段で売りつけるというものなのだが、テレビでこれらの“セールストーク”を聞いていて、「あれ、どっかで聞いたような文句だな」と思ったのは私だけだろうか。

 ガソリンスタンドでの油外商品販売も、無料点検の誘いでボンネットを開け、客の無知に付け込んで“あれが足りない、これが汚い”と半ば脅して売りつけるというえげつない売り方が結構日常的になされている。厳しいノルマと歩合給制が、強引な店頭セールスを助長している向きもある。もちろん、本当に「お客様の快適走行」のためだけを考えて、誠実な商品販売を行なっているスタンドもあるのだが、時々、給油口などにべたべたと水抜き剤のステッカ-が貼ってある車を見ると、屋根裏に十数個の換気扇を取り付けられた家と似ているな~と思ったりする。

 かつて、あるカーショップの店長が話していたことだが、「ガソリンスタンドが、本当に客が必要なものをきちんと販売する仕組みを作り上げていたら、我々のような業態が成長することはなかった」というのだ。彼は、「車に乗っていればだれもがガソリンスタンドへ行かねばならない。マイカーの相談をする最も身近な相手はスタンドの従業員なのだが、彼らは長らく手っ取り早くもうかるケミカル商品ばかり、それもかなりの高値で売っていたため、ドライバーの信頼を失ってしまった」とも語っていた。

 確かに、いまでは、オイルやタイヤはカーショップの物量作戦の前に歯が立たず、ガソリンスタンドが燃料油以外に売れるものは、せいぜい洗車ぐらいである。それとて、いつ強力なカテゴリーキラーが現われるか知れない。スタンドでは、ますます一部の気前の良い客(あるコンサルタントにいわせればピラミッドの天辺部分なのだそうだ)に依存するようになってゆくだろう。

 しかし、それよりももっと怖いのは、リフォーム詐欺同様、判断力が衰えている高齢ドライバーをターゲットにした、悪徳商法に手を染めるスタンドが現われることだ。毎週のようにオイルを交換させられたり、毎月のようにタイヤを交換させられた挙句、市場価格の何倍もの料金をふんだくられるお年寄りが続出した暁には、ただでさえ旗色の悪いガソリンスタンドのカーケアビジネスは、今度こそ地に堕ちるだろう。燃料油マージンが低下の一途をたどっている昨今、そのような不届き者が現われる危険性は決して低くはない。

 もちろん、消費者自身も、そんな輩にカモられないよう、自衛手段を講じるべきである。とりあえず高齢ドライバーのみなさんには、給油は是非最寄りのセルフスタンドへ、それも店頭に従業員がいない“給油のみ”のセルフスタンドへ行くことをお勧めしたい。

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