セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.78『灯油シーズンを前に一言』

GS業界・セルフシステム

2005-10-03

 今年1月のある夜のこと、私の店に学生風の男性が、ポリ容器を持って灯油を買いにやってきた。給油を終えると、インターホンでスタッフのYを呼び出し、不服そうな顔でこう訴えた─。

 「ちょっと、これおかしくないっすか?!看板には『900円/缶』と書いてあるけど、千円プリカを使い切っちゃたっすよ!」

 「だってお客さん、それ20㍑入りのポリ容器じゃないですか。一缶というのは18㍑入りの一灯缶のことなんですよ」

 「でもこれは20㍑の“缶”だよ。大体、なんで一缶が18㍑なんて中途半端な量なの?」

 「一缶と言えば18㍑と昔から決まってるんですよ。一升瓶は1.8㍑、その十分の一の一合徳利が180㍉㍑─これも昔からそう決まってるんですよ。文句があるなら昔の人に言ってくださいよ」

 「納得行かないなー」

  “お前こそ、大学生のくせにそんなことも知らんのか”と言ってやりたいところだが、考えてみれば、一灯缶なんて最近めっきり見かけなくなったもんなぁ。あの学生が文句を言いたくなったのも、無理からぬことかもしれない。最近、ぽちぽちと灯油を買いに来る客を見かけるようになったが、やはり大半が20㍑入りポリ容器を持参して来る。うっかり『一缶幾ら』なんて表示すると、20㍑缶と間違えられて文句を言われるきょうこの頃である。

 ところで、昨シーズンは1㍑20円台、一缶の価格が900円台だった灯油も、今シーズンは10円以上値上がりし、一缶の価格も、遂に千円台、つまり四ケタの数字を表示せざるを得ない状況となっている。私の店の価格表示看板は、灯油の表示部分が三ケタ分しかないため、やむを得ず、いまは1㍑当りの単価を表示している。同じような表示をしているスタンドをちらほら目にするが、この際、灯油の価格表示も他の油種と同じくリットル表示にしたほうが、スッキリとしていてわかりやすいのではないか。

 特にセルフ給油においては、ポリ容器の口元まで目一杯(22~3㍑)入れてゆく客もいれば、アパートの3階まで運ぶのが大変だからと、半分しか入れない高齢の客もいる。20㍑、18㍑ルときっちり量って給油してゆく客などほとんどいない。セルフスタンドでは、一缶幾らという価格表示はすでに形骸化している。その意味からも、やはり灯油の価格も1㍑幾らとしたほうが親切ではなかろうか。

 本格的な灯油シーズンに入ると、フルサービス店では、ただでさえ少ない人手が灯油の給油に取られて、フィールドでの接客や作業はおろそかになるという悩みが生じる。しかもこのところその灯油がさっぱり儲からないと来ているから、余計に腹立たしい。そこで、「灯油だけでもセルフにしようか…」と相談される店主もおられるのだが、私は賛成しかねる。一年のうち、せいぜい3~4ヶ月しか売れない商品のために、わざわざお金をかけてセルフ化するのはもったいない。逆に、ガソリンや軽油はセルフ給油にして、灯油はスタッフが給油し、車の荷台に運んであげてたり、ビニル袋をサービスしてあげたりしてみてはどうか。その代わりしっかり値取りをさせていただいて…甘ァ~イ!

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