セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.866『移動店舗』

GS業界・セルフシステム

2021-10-11

『静岡県内でガソリンスタンドなどを運営する西東石油と出光興産,スマートスキャンは8日,西東石油が運営する島田市内のセルフスタンドでMRI(磁気共鳴画像装置)を搭載した車両による移動式脳ドックサービスの実証実験を始めた。11月末まで。GS敷地内での同サービス展開は全国で初の取り組みという』─10月9日付「静岡新聞」。

 出光興産によれば,同社の新ブランド「アポロステーション」の「スマートよろずや」プロジェクトの一環として,人々の暮らしと移動を支え,地域住民の生活を豊かにする新しい価値・事業の創出を志向する取組みとのこと。ちなみに「よろずや」とは漢字で「万屋」と書き,多様な商品を扱っている商店のこと。比喩表現としては「何事も広く浅くこなす人」のことを指す。

 脳血管疾患の兆候を見つける脳ドック検診は,健康保険の適用外のうえ,1回の受診に4~5万円かかるため,個人も企業も定期検診に二の足を踏んでいるのが現状だという。今回の試みは,もっと気軽に脳ドックを受けてもらおうということで,受診料は2万2千円(税込),時間は30分程度とのこと。とはいっても,GSスタッフに「いらっしゃいませ。いま“脳ドックキャンペーン”開催しておりますのでいかがですか」と勧められ,「じゃあ受けようかな」というわけには行かず,事前にネット予約をする必要があるとのこと。

 GSが異業種とコラボしようとすると,コンビニやカフェ,コインランドリーなど“箱”を作っていたのだが,今回のように移動店舗を一区画に駐車して物販なりサービスを行なうほうが,コストははるかに安く済む。とりあえずGSはわずかばかりの場所代をもらうだけだとしても,うまくいかなかった時のリスクは回避できる。

 移動店舗といえば,すぐに思い浮かぶのは「飲食」。コロナ禍の影響で,いまキッチンカーがブームとなっているが,何といってもGSは危険物を取り扱っているわけで,火を使わなければいけない業種は焼き芋,たこやき,からあげ,ピザ,ハンバーガー…いずれもNGだ。GSでお酒を売るわけにはいかないし,アイスクリームはこれからの時期は売れないし,タピオカドリンクはもう見向きもされないし…。

 飲食以外では,日用品,雑貨,アパレル,メガネ,書籍,靴磨き,整体などいろいろあるようだ。「JAおきなわ」では,昨年9月から,貯金の出し入れなどの銀行のサービスを受けられる移動店舗車を導入し,店舗のない村や離島などを巡回しているとのこと。

 しかし,そもそも移動店舗がGSの敷地内で営業する必要があるのだろうか。脳ドックだって,もっと広々とした静かで安全な空地で行なったたほうがいいと思うのだが。GS側が,集客効果が上がればそれでよしとして,場所代もタダで“誘致”するぐらいじゃないと出店は難しいんじゃないだろうか。

 一方で,GSのほうが移動するという発想はどうかといえば,タンクローリーから一般のクルマへ直接給油する実証実験がぼちぼち行なわれているものの,相変わらず過疎地や被災地といったシュチュエーションに限定されており,セルフ給油もNG。ドライバーも給油の際にいったんクルマを降りなければならない。スタッフは交通誘導を行なう人も含めて5~6人体制での運用とのことで,これはもうとても経営にはならない。自衛隊か消防庁あたりでやってもらうしかない。

 それはともかく,ホットドッグならぬ脳ドックの“屋台”いいですよね。脳卒中やくも膜下出血などの脳血管疾患による国内死亡者数は毎年10万人を越え,全死亡者数の8~9㌫,死亡原因の第3位とのこと。この病気は前兆なく突然発症することが多く,予防が難しい。早期発見に越したことはない。近所に来たら俺も受けようかな。最近,私 仕入れ価格がどんどん上がるわ,周辺のGSはいまだに140円台で売るわで頭が痛いものですから…。

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