セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.941『賃上げ,のちAI』

政治・経済

2023-03-20

『連合は17日,2023年春闘で,傘下の労働組合が経営側から受け取った回答の第1回集計結果を公表した。基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率は平均3.8㌫に上り,前年の2.14㌫を大きく上回った。これは,1994年春闘以来約30年ぶりの高水準という。賃上げ額は平均1万1844円で,前年の2倍近くとなった。物価高や人材不足を背景に,先行する大手企業で満額回答が相次いだことが水準を押し上げた』─3月17日付「時事通信」。

 今回の賃上げは,連合の手柄でもなんでもなく,統一地方選を控え,国民の不満を抑えるための政府および大企業による“官製賃上げ”との見方が強い。しかも,依然として厳しい経営環境に置かれている多くの中小企業からは,そんなに気前良く上げられないとの声があがっており,2千万人にものぼる非正規労働者の待遇改善は手付かずのままだ。まあ何はともあれ何はともあれ,給料が上がれば,働く人たちの気分も“アガる”だろうし,それが消費に繋がってくれれば,いわゆる“景気の好循環”を生じさせることになる…。

 だが,よい事は続かないのが世の常だ。私は今回の空前の賃上げラッシュが,多くの企業をより一層の合理化に突き動かすのではないかと見ている。国際競争力が低下してしまえば元も子もない。賃上げ要求を呑んだ以上,企業側は職能による選別のハードルを一段と上げてくるだろう。企業側が,満額回答の理由として,「優秀な人材を確保するため」としていることは,裏を返せば,そうでない人たちは淘汰されてゆくことを暗に示唆しているように思える。

 今後,賃上げと並行して,職場へのAI導入が加速してゆくだろう。製造現場での自動化はいまに始まったことではないが,今後は開発や設計の分野もAIが行うと見られている。今後は人手に頼っていたサービス業にもAIが進出してくる。GS業界では,先ごろAIによる画像認識技術によって,セルフスタンドにおける給油許可を判定する実証実験が行われた。セルフスタンドの完全無人化に向けて前進するかどうか…。

 自動車情報誌「ベストカー」によると,いま話題のAI「ChatGPT」に『今後 減るか無くなる自動車関連職業を教えて』と尋ねたところ,忖度なしの答えが返ってきた。まず,AIが顧客の要望を理解し,適切な車種を提案できるようになるので販売員が必要なくなる。顧客からの質問やトラブルシューティングもAIの方が正確に対応できるため,カスタマーサポートのスタッフも不要。車検や修理もAIによって自動化されれば,整備士という職業もなくなる可能性がある。AIはデータ改ざんや法令違反はしないから信頼できる。

 自動車部品製造の従業員や自動車教習所の教官も,AIに取って代わられると「ChatGPT」は予言している。そして,結びにこんな励ましの言葉を。『ただし,技術の進歩に伴って新しい職業やスキルが生まれることもありますので,これらの職業が完全になくなるわけではありません。適応力と新しいスキルを学ぶ意欲があれば,自動車業界で働く人々も新たなキャリアチャンスを見つけることができるでしょう』─。

 AIは否応なく私たちの仕事に変化をもたらすだろう。しかし,変化に対応する意欲とスキルがあれば恐れることはない…と言いたいところだが,恐らく多くの業種で人間,つまり給与を必要とする労働力は淘汰されそうだ。「ChatGPT」に,AIの普及に伴って新たに人間が行わなくてはならない仕事について聞いてみたところ,『AIシステムの保守・修理・管理及び必要なデータのエントリーを行う人間が必要』との回答。人間はAIのお世話をする役回りを仰せつかることになりそうだ。

『私はガソリンスタンドの経営者ですが,AIに代わってもらうことは可能ですか』と相談してみたら,『自動化やロボット化が進んでいる現代において,AIに代わってもらうことは可能です。(中略) ただし,AIシステムを設計・導入・維持するためのコストやスキル,安全性やプライバシーの問題などがあります。また,お客様との接点を失うことで,サービスの質や顧客満足度が低下する可能性もあります』と,私の自尊心を傷つけないように,優しく助言してくれた…。(苦笑)

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