セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.947『コロナ禍がもたらしたもの』

社会・国際

2023-05-01

 4年ぶりの行動制限のない大型連休。山へ海へテーマパークへ,そして海外へ。人ごみも,割高料金も何のその,一度きりの人生だ,思いっきり楽しもう!というわけで行楽地・観光地は大賑わいだ。水際対策も撤廃され,海外からも観光客がわんさかやってくる。だが,そんな“アゲアゲムード”に冷や水を浴びせかけるこんな報道も─。

 『厚労省にコロナ対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の有志は19日,今後起こりうる「第9波」は,「第8波」より大規模となる可能性がある,との見解を示した。海外と比べて人口に占める感染者の割合が低いため,コロナの5類移行後も,高齢者を中心に死者が継続して発生する可能性もあるとも指摘した』─4月19日付「朝日新聞」。

 コロナウイルスは現在進行形の疫病である。WHOの推計によれば,いまも全世界で毎日約68万人が新たに感染しているとのこと。しかし,変異を重ねた結果,感染者が重症化するリスクが少なくなったことや,ワクチン接種によってある程度予防されたことで,それほど怖がらなくてもいい,感染しても近所の医院に行けばよろしいということになった。ただし,「波」が来るたびに流行規模が縮小している英国と比較したところ,抗体の保有率が英国は86㌫だったのに対し,日本は42㌫にとどまっていることや,75歳以上の人口規模が大きいことなどから,このまま欧米並みの緩和策へ移行すると,他国と比べて死者数が多い状況になる恐れがあるという。

 医療関係の方々は,「コロナを正しく怖がりましょう」なんてことをよく言うけれど,実際どの程度用心すれば「正しい」と言えるのかは人それぞれだ。ただ,第8波で亡くなった人の9割が70歳以上の人だったことを考えると,高齢者にとってコロナは依然として“怖い病気”と言えるかもしれない。

 それにしても,個人的には,この3年間で生活様式はもっと劇的に変化するだろうと思っていたので,昨今の状況は「こんなものか」という感じ。オンラインによる会議や授業が定着し,オフィスや教室なんていらなくなるだろうと予想していたけれど,相変わらず通勤・通学に時間と労力を費やしている。歓送迎会や忘年会なんて,この際無しにしたっていいじゃん,となるかと思いきやそうはならず。ハンコが無くなるなんて話もあったけれど,どうなりましたかね。

 GS業界では,これまでスタッフ給油の店に行っていたドライバーの多くが,セルフスタンドへ行くようになり,セルフ方式への転換が進むかもと注視していたが,これも著変なし。全国で緊急事態宣言が発令されていたあのころ,スタッフ給油のお店はさぞかしご苦労なさったことと拝察する。一方,「密」とは無縁のセルフGSは,普段どおりに営業を続けられた。セルフ,それもローコストセルフにしておいて良かったなと思った次第である。

 「ウィズコロナ」によって,非接触のキャッシュレス決済が一気に浸透するとの見立ても,さほどではなかったようだ。コロナウイルスは主に飛沫やエアロゾルによって感染するとされ,接触感染については「当初考えられていたよりリスクは低い」(厚労省アドバイザリーボード)ことも判ってきた。確かにコロナ禍でキャッシュレス決済は伸張したが,それはネット通販が増加するなどして,元々電子マネーを使っていた人がより使うようになった程度で,現金支払いの人も依然として多く,二極化が進んだに過ぎないようだ。

 結局,「コロナ以前/以後」と呼べるほど大きな変化は起きなかったのでは…いや,実はとてつもない変化を世界にもたらしたという見解も。一昨年の終わりごろ,ロシア軍がウクライナ国境線に大軍を展開しはじめた時,まさか本当に軍事侵攻などするまい,プーチン大統領の脅しだろうと思っていた世界の人々は,びっくり仰天してしまった。一体なぜ,そんな愚かなことを…と。多くのアナリストたちは,コロナ禍の中で,クレムリンの奥の院に引きこもったプーチン大統領が,孤立の中で以前から抱いていた西側諸国への怒りをたぎらせ,より感情的になり,硬直した歴史観を膨らませ,遂に戦争へと駆り立てられたのではないかと指摘している。それが本当だとすればコロナ禍の“ステイホーム”が,どえらい二次災害を生じさせたことになる。

コラム一覧へ戻る

ページトップへ