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和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.967『アレ』

エンタメ・スポーツ

2023-09-18

 今年のプロ野球 セ・リーグは,阪神タイガースが優勝した。9月1日から怒涛の11連勝。素晴らしいと言えばそうだが,他の5チームのふがいなさといったら…。チーム打率はリーグ3位,本塁打数は5位。(15日現在。以下同じ) ヤクルトの村上や巨人の岡本のような強打者がいるわけではないが,なぜか得点数は1位。そして失点数も1位で,得失点差は130点は,2位 横浜の27点の5倍近い圧倒な数字だ。絶対的なエースはいないが,チーム防御率は12球団トップ。実は2年連続なのだが,「投打がかみ合う」とはまさに今年のタイガースのことを言うのだろう。

 さて,今年のセ・リーグのMVPはだれか? よほどのことがない限り,優勝チームの中から選出することが不文律となっている日本のプロ野球担当記者たち,とりわけ「トラ番」記者の諸氏は,意地でもタイガースから選出しようとするに違いない。じゃあ,だれを? 統計に基づいたセイバーメトリクスが発達した現在では,以前とは比べものにならないほど選手の能力や貢献度を数字で測れるようになっている。その代表的な指標が「WAR」だ。「代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」という略称で,簡単に言うと,その選手が攻守走において勝利に貢献した度合いを換算したものだ。それによると,タイガースでのトップは近本光司が最高値。長打力はないが,リーグトップの得点圏打率と盗塁数,高い守備力が,出塁率2位の大山や安打数2位の中野,防御率1位の村上らを抑えて最高の貢献度とみなされている。

 いうまでもなく,野球は数字がすべてではない。セイバーが解明できていない現象はいくらでもある。だが使える数字が増えた以上,それと違う評価をするときはその理由が示された方がいい。野球はひとりがどれだけ活躍しても,それだけで優勝するのは難しい。大谷翔平のエンゼルスがいい例だ。だが,大谷はア・リーグのMVPに選ばれるだろう。日本のようにチーム成績を重視しすぎると,戦力の劣るチームの選手は最初からMVPの対象外になってしまう。根底には個人の活躍はチームの勝利に結びついてこそ意義があるという発想があるのだろうが,そういう考えに基づくなら,大谷翔平はハナからMVP選外ということになる。

 企業においても,従業員の貢献度を測るために様々な指標や基準が用いられている。幾つもの異なる部門をひとつの指標で評価するのは,野球選手より難しいだろう。複数のGSを運営している会社なら,スタッフ給油の店舗で働くスタッフとセルフスタンドで店番しているスタッフとではどちらが貢献度が高いか。油外商品を販売しているスタッフと,経費削減に勤しんでいる経理スタッフの貢献度をどのように公平に測ることができるか。あるいは,数字に表れない現場での貢献度は? 恐らく永遠に解は出ないだろう。

 それはともかく,総合力では3年ほど前からタイガースは最も優勝に近いチームだったのに,昨年キャンプでの“胴上げ予行練習”からの開幕9連敗が象徴するように,矢野監督の迷采配が祟って,優勝を逃してきた。やはり,近代野球の勝敗は監督の手腕にかかっている。岡田監督の采配については,いろいろな分析がなされるだろうが,やはり今年の流行語大賞の有力候補である「アレ」に象徴される選手操縦術が見事だった。オリックス監督時代に「優勝」と口にした途端,選手たちが萎縮してしまったことへの反省から,「アレ」と表現するようになったとのことだが,結局,選手たちが「アレ,アレ」と気楽に口にすることでかえってその気になり,伸び伸びとプレーできるようになったのだと思う。

 タイガースは18年ぶりのリーグ優勝。2005年の監督も岡田氏だった。その時の日本シリーズはロッテに4戦ストレート負け。最後に日本一になったのは 「アノ」1985年までさかのぼる。その前に“鬼門”クライマックスシリースが待ち受けている。タイガースは過去10回CSに出場したが,日本シリーズに進めたのは1度だけで,その時もソフトバンクに1勝しただけで敗退。今回待ち受けるのは,恐らく3年連続優勝を果たしたオリックス。日本一への道のりはまだまだ遠く険しい。名古屋在住の私の周りでは,狂喜して「六甲おろし」を唄っていた人はいなかったが,来期もドラゴンズの指揮を立浪監督が執るとの報道に嘆き悲しんでいる人はた~くさんいます。(憫笑)

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