セルフ給油システム・周辺機器 販売・施工
和田商事株式会社

セルフ雑記帳

和田 信治

vol.993『幸福度』

オピニオン

2024-03-25

『世界各国を「幸福度」で順位付けした国連の「世界幸福度報告書」の最新版が20日公表され,143か国中,フィンランドが7年連続で1位となった。2位はデンマーク,3位はアイスランド,4位はスウェーデン。一方,米国とドイツは初めて20位圏外となり,それぞれ23位と24位となった』─3月21日付「時事通信」。

 ちなみに,日本は51位。このランキング,どういう方法で決められているかというと,各国の約1000人に「最近の自分の生活にどれくらい満足しているか」を尋ね,「最悪の生活」を0点,「最高の生活」を10点として11段階で評価するというもの。今回のランキングは2020年から2022年までのデータに基づいているため,新型コロナのパンデミックや,ウクライナ情勢が反映されたものとして注目されていたが,結果は“常連”の北欧諸国が上位を占めた。広範な福祉給付,低い汚職レベル,手厚い教育制度,高い自由度などが理由として挙げられているが,そもそも「幸福」というのはきわめて主観的なものなのであり,その基準は千差万別と言える。

 それはともかく,ランキングで上位に評価されるというのはやはり悪い気はしないだろう。例えば,建物賃貸事業最大手 大東建託が全国規模で行った調査「街の幸福度ランキング2023」なるものによれば,全国1位に輝いたのは長野県原村。長野県のほぼ中央,八ケ岳の西側の山麓に広がる高原の村で,人口は約8千人。夏は涼しく,冬もさほど雪は積もらないそうで,美しい景色と東京都心への利便性などから,毎年わずかずつ人口が増えているのだそうだ。ちなみに「gogo.gs」で検索したところ,村内にGSはなさそうだ。長野県は21日時点でガソリン価格が全国最高値(184.3円)で,GS業者の「幸福度」は高そうだ。

 経済誌 日経クロストレンドは,これまで,商品やサービスの品質や価格・対応などを指標とした「顧客満足度」に替わる新たな指標「顧客幸福度」のランキングを発表した。商品やサービスの持つ機能だけでなく,それを購入したことで幸せを感じたり,「推し」たくなるなるなどの情緒的な面を強く盛り込んだとのことで,11業界の82ブランドで調査を行ったところ,最も高い評価を得たのは,「モスバーガー」。まあ,確かにマックに比べて値段は高いが,おいしいし,満足感はある。私のお勧めは,モス野菜バーガーとオニポテとコーンスープのセット。でも,それを食べたから“しあわせだな~,ボクは死ぬまでキミを離さないぞ”(by 加山雄三)となるかと言われると,そこまでは・・・。(苦笑)

 GS業界においても,永年に渡って「満足度」について分析やら研究やらがなされてきた。“お客様が本当に求めているのは何か”“価格を安くすればそれでいいのか”“どうすればお客様に「ありがとう」と言ってもらえるか”などなどいまだに論じられているが,お客様はGSに「幸福」などというものを求めているのだろうか。私は甚だ疑問というより,そんなものは求められていないという考えだが,昨今は,いろいろなものにハマったり,いろいろなものを推したりするご時勢だ。GSにもそういう要素が生じる可能性が無いとも言えない。“私はここで給油することに幸せを感じる”というコアなファンが現れるかも─。

 冒頭の世界ランキングについてだが,どこに住んでいようと幸福を感じている人はいるだろうし,不幸せだと思って生きている人もいる。要は,いま置かれている状況に満足しているかどうかだと思う。無論,今回最下位だったアフガニスタンのように“こんなところでどうやって幸福を見出せばいいんだ”という地域や環境で生活している人もいるかもしれないが,それでも一日の糧を得られたことに感謝し満足している人はいるだろうし,一方で,有り余る富を得ながら,心が満たされず悲嘆に暮れている人もいる。

 今回のランキングでは,年代別の比較において,若者たちの幸福度が中高年世代のそれと比べて著しく低下しているという。とりわけ,経済的には恵まれている先進諸国においてその傾向が強く,米国やドイツが20位圏外となった主要因でもあるとのこと。調査期間は,多くの若年層が将来に不安を抱えていたり,孤独感で心身に苦痛を感じたりしていると分析し,憂慮している。経済や科学の力で人間は幸福になれないということがよくわかる。この際,全世界で「不幸度」を調査する必要があるのかもしれない。

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